大宗旅館

実際の民家を改築して作った和風旅館

「大宗旅館」は築80年の古い日本家屋を買い取り、それを旅館に改築したというかなり本格的な和風旅館です。

場所は築地の魚市場のすぐ近くで、営業開始当初は漁業関係者の人が多く利用をしていたといいますが今ではそうした関連業者さんの利用も少なくなりひっそりと観光客を受け入れるような形で営業をしています。

おもしろいのが周辺にあるビル群とのギャップで月島から佃島に抜ける道を歩いて築地に向かっていると突然道の途中に現れてくるのですが、それが周辺の高層ビルの間でぽつんと取り残されたように建っているという風情をしています。

そこだけ時間が止まっているかのような不思議な感覚にもなる建物なので、初めて見たときにはつい足をとめて写真を撮りたくなってしまいます。

建物自体が小さいので宿泊できるお客さんも少なく、1日2組を限定に受け入れしており料金も1泊一人5500円と格安です。

築地の町並みととてもよく似合う

周辺の建物こそ大きなビルが増えましたが、築地はまだまだ商店街の街で魚市場に向かうとたくさんのお店が路面に向いて営業をしています。

築地

そんな賑やかな人との会話がこの「大宗旅館」にも大変よく似合い、街を歩いてから宿泊という流れをすることで昭和の頃の暮らしをちょっとだけ疑似体験することができます。

建物は塀の部分だけが妙に新しく見えるのですが、これは先の東日本大震災のときに塀だけが倒壊してしまったがためのことだそうで、もともとの和風塀と同じものを作りなおしたものの木材という素材のせいでちょっと見た目の色がはっきり分かれてしまっているのだということらしいです。

玄関からして普通の民家のように見え、中に入るとさらに普通の民家だということを実感します。

木造の床や細くて急な木の階段、部屋に部分的に入り込む光の様子などは昔ながらの木造家屋ならではのものです。

宿泊ができる部屋はいずれも古い畳部屋で掛け軸や障子などの装備がそのまま残されています。

普通の一般住宅として作られた建物ではあるのですが、もとの持ち主さんがかなりこった方だったのか建物の細かい部分には木造ならではの造形や細かいインテリアが置かれていることに気が付きます。

詳しく見るほど新しい個性の発見があるというのも古い木造住宅ならではの楽しみ方です。

丁寧に管理されているからこその味

この「大宗旅館」を見ていて気がつくのが、古い日本家屋はただ古いだけでは価値が出るわけではないということです。

大宗旅館は決して大流行している旅館ではないのですが、それでも長年にわたりオーナーさんが丁寧に掃除や管理をしてきたということが随所に伺える作りをしています。

隙間や凸凹、段差の多い日本家屋というのは決して掃除がしやすいものではなく、数十年に渡ってキレイな状態を保つためには相当の気持ちがなければできることではありません。

そんな建物を大事にしたいという気持ちが詰まった木造住宅がこの「大宗旅館」の一番の魅力と言えます。